駆け抜ける彗星

 6/17、渋谷のSHIBUYA CLUB QUATTRO。Salyuとして初のソロライブが行われた。スタッフの意図によるものか、単なる偶然なのか判らないが、この場所でのファースト・ソロ・ライブというのは、ある種特別な意味を内包していた。Lily Chou-Chou時代から彼女の歌を聞き続けて来た者にはその意味が判るだろう。SHIBUYA CLUB QUATTRO・・・QUATTROというのは「4」を表す。そして叉キャトルというのも「4」の事だ。QUATTRO=キャトルと考えれば、映画「リリイ・シュシュのすべて」でのクライマックスシーン・・・架空の「渋谷キャトル」でのライブが現実のものとなった訳だ。
 白い、まるでウエディングドレスの様な生地に草花の飾りをあしらったドレスで現れたSalyu。上記の様な背景を踏まえてか、否か・・・オープニングは「回復する傷」だった。
 そして2曲目はやはりリリイ・シュシュ時代の「アラベスク」。
 ライブは新しいアルバム「landmark」にフィーチャーされた曲を中心に、リリイ・シュシュ時代の曲を織りまぜながら進んで行く。
 2月の渋谷LOFTのライブあたりから明らかにSalyuのサウンドは変化して来ている。
パワフルな感じ・・・。一言で言えばそんな感じだろうか。「landmark」全体を支配するのはライトな感覚のロック調だが、今回演奏されたリリイ・シュシュ時代の曲にもその傾向は現れている。どの曲もリリイ・シュシュの頃のミステリアスな感じは陰を潜めて、明るくアップテンポなイメージに仕上がっていた。今回唄った総ての楽曲が今迄のスピリチュアルな感覚にパワーを加えた雰囲気になっていた。
 Salyuももはや、椅子に座って目を閉じて歌う等という事は無い。必ずと言っていい程、両手で握りしめていたマイクも、極普通の使い方が板に付いた感じだ。
 何よりSalyu本人の「歌うのが楽しくて仕方が無い」という感じがビシビシ伝わって来る。
 これが新生Salyu。新しく輝き出したSalyuのSOUNDなのだ。

 彗星は、その太陽に近付けば近付く程、太陽風に吹かれてその尾を益々長く、そして輝きを増す。
 眩い未来に向けて走り続けるSalyu。その輝く尾は益々長く光を増して、僕等の心の中を駆け抜けて行くのである。