"Hana" Hanako Oku Fan Site

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君がいて、僕がいて、忘れられないあの日。今なら言える事、判る事。今でも好き・・・。

　眠れない夜・・・。ベッドサイドに手を伸ばして・・・やっと届く距離にあるラジオのスイッチを入れた。ラジオなんて、聞くのは随分久しぶりのこと。そうしたら・・・あの曲が・・・。「聴いてはいけない」そう思いながら身体は凍り付いた様に動かない。唯、耳の中に流れ込んで来る音にまかせて、溢れ出る思い出と悲しみに流されて行く。
　記憶の弦が震える。忘れようとしても忘れられないのは、楽しかった思い出だけが蘇る所為?
　いいえ、楽しかった思い出も、喧嘩した思い出も、時間(とき)がいつの間にか透き通った輝く雫の様な、美しいものに変えてしまう。
　記憶の弦が、いつかその雫で錆び付いてしまえばいい。
　けれど総ての記憶はますますその音色を高めて・・・。
　いつの間に眠ったのか、枕を濡らす涙の冷たさで目が覚めた。眠りながらも泣いていた。
　唇に残る哀しい夢の余韻。
　まだ愛しているという事だけが唯一の確かなもの。
　"萎える"という言葉を知らない気持ちが、震える弦の共鳴のように身体中を貫いてゆく。
　あなたへ・・・あなたへ・・・。

　窓の外が少しだけ明るくなって・・・
　また同じ朝がやってくる・・・。

Photo by Nozomi

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