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Photos & Essays 君がいて、僕がいて、忘れられないあの日。今なら言える事、判る事。今でも好き・・・。
花火
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花火イメージPhoto

 夕暮れから、少しだけ涼やかな風が吹き始めて、僕は少しホッとしたんだ。君は暑さは苦手だったから・・・。
 涼し気に感じたのは、待ち合わせた君の、浴衣姿の所為でもあったかもしれない。
 綺麗な茜雲の夕空を見ながら、花火を待っている間、何故か僕はいつもよりドキドキしていたんだ。君の香りがいつもより近い気がした。暮れ始めた空の薄暗さが、僕のそんなちょっとおどおどした所を隠してくれた。
 花火がひとつふたつと上がり始めて、その光と音に君が歓声を上げる。君は派手に色の着いた花火よりも、金色に枝垂れて来る花火が好きだと言っていたっけ。
 満員電車の様に混み合った会場で、人ごみに押されながら「綺麗だね」等と言い合った。花火の音と人ごみの喧噪の中、君は僕の耳元に唇を近付けて話をした。僕も君の耳元に唇を寄せて応えた。 僕はあの時、二人の距離も近くなったと、勘違いしていたんだ・・・。
 夜空を照らすスターマインが、君の横顔も照らしていた。僕は・・子供の様にはしゃいで、花火を見ている君の横顔ばかりを眺めていた。
 今年もまた、花火大会がやって来る。
 君はあの花火をどこで見るんだろう。僕は今年もまた見に行くよ。今度は花火に照らされた君の横顔ではなく、君が歓声を上げた花火を僕も見るつもりだよ。でも・・・人ごみに君の横顔を探している僕がいるんだ・・・。いけないと思いながら・・・。

Photo by la_qu
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